院長挨拶

院長から皆様へのご挨拶です。

大森院長ブログTOP | コラム(第45回)

脳動脈瘤があっても過度の心配は不要

2010/06/01

―未破裂脳動脈瘤があっても死亡のリスクは脳動脈瘤がない場合と変わらない―

*

家族の中に脳動脈瘤が2人以上いる高リスクのグループ2794人を対象にしたアメリカでの研究結果です。試験開始時に脳動脈瘤を認めた人は1073人で、脳動脈瘤を認めなかった人は1073人でした。この人達を平均3.27年間追跡調査し、脳動脈瘤がある人の死因が動脈瘤破裂かどうかを解析しています。死亡リスクは年齢・人種・性別・脳動脈瘤の有無・動脈瘤破裂の有無・喫煙歴・高血圧の有無を考慮して検定しています。

脳動脈瘤がある人の年齢は平均54.8歳、ない人の年齢は平均48.6歳と、脳動脈瘤がある群で優位に高くなっていました。

年間の死亡率は脳動脈瘤がある群で1000人あたり13.2人、ない群で1000人あたり8.5人でした。年齢などで補正すると脳動脈瘤の有無に関わらず、死亡率は差がないという結果になりました。しかし55歳未満に限定すると、脳動脈瘤があると死亡のリスクは4.3倍でした。(ただし登録後10日以内に脳動脈瘤が破裂した人を除くと3.3倍)

全死亡88人中脳動脈瘤破裂で死亡した人は8人でその内7人は登録直後に死亡していました。
未破裂の脳動脈瘤があっても大きくなっていないか定期的に検査し、禁煙・血圧の管理により、死亡リスクをコントロールできそうです。

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